がんばる商店街
歴史的資産も生かしながら
地域内外から人を呼び込む
旧国鉄高砂線の高砂駅と市街地を結んでいた「高砂銀座商店街」と「次じ郎ろ
助すけ町まちセンター街」は、ピーク時には100近い店がひしめき合っていました。しかし、1984年に高砂線が廃線となり、近隣に大規模商業施設が増え始めると、くしの歯が抜けるように店が減っていきます。
高砂銀座商店街では、かつてのにぎわいを取り戻そうと、2014年7月から多様な食材を並べた「朝ごぱん市」を第3土曜に開催。時を同じくして、加古川舟運や播磨灘海運の集散地として栄えた町の名残を感じさせる古民家を改装した雑貨店、カフェが周辺に少しずつ増えていきます。「地元の工務店に改装をお願いし、商工会議所やひょうご産業活性化センターの助成金をつないで負担を抑え、出店を促してきました」と同組合の藤本明久理事長。
シャッターを閉じた店が目立つ商店街ですが、かつての花街の「大正感、昭和感」漂う町並みは若い世代の心をくすぐります。コロナ禍による客の減少は商店街をさらに窮地に追い込みましたが、「近隣の人にいかに楽しんでもらえるかを考える契機にもなりました」と話します。
鍛治屋町や細工町などの地名にも残る、職人のまちの資産をつないでいこうと、理事長自ら商店街の南に「モノづくり工房」をオープンし、親子向けの工作教室などを開いています。また、22年4月から毎月、次郎助町の居酒屋、小南酒店でライブ「次郎助劇場」を企画。店外まで人があふれるほどのにぎわいを生み出しています。
「地域の人が自然に集まるようなにぎわいをつくれば、おのずと出店者や地域外の人も集まってくると思っています」と藤本理事長。計画されている山電高砂駅の立体交差事業が完成する10年先を見据えながら、自分たちが楽しいと思えることを地道に続けていきます。