旺盛なチャレンジ精神で
木材卸・加工の幅を広げる
三祐木材株式会社
変化を見越し先手を打つ
神戸市須磨区の高台に立つ本社倉庫は広大で、2階には外材から国産材、県産材まで多種多様な在庫がそろい、1階ではそれらを建設現場で使う形状、サイズに加工します。一日中ひっきりなしに搬入出のトラックが行き来しています。「当社の強みは在庫が豊富で、保有車両も10台と多く迅速な配送ができること。近隣市町なら、前日夜までに注文があれば翌朝に届けられます。また、加工から運送までを一貫して担うのでリーズナブルな価格で提供できる点も評価されています」と小林進社長。1951年に小林社長の父が木材販売業として創業し、市場から仕入れた木材を加工して工務店などに販売してきました。かつては2階に加工機を置き、現場で使う仕様に加工する「刻み場」として大工に開放していたそうですが、30年ほど前からあらかじめ工場で加工したプレカット材が普及し、刻み場はその役割を終えました。時代の変化を見越して小林社長はいち早くプレカット材を設計する専用CADを導入し、技術者を育て、設計から加工までの一貫体制を整えました。加工面でも、数値を入力するだけで曲線形状等の複雑な加工ができるNCルーター機などの導入によって、現場への提案の幅を広げてきました。
事業拡大に向け新卒採用も
三浦祐生取締役は小林社長の娘婿で、2014年に入社して以来、会社に新しい風を吹き込んでいます。ECサイトでの受注もその一つ。「工務店からは超短納期案件の受け皿になっている他、セミプロの方から額縁のオーダーが入るなど間口が広がっています」と三浦取締役。
また、木材加工の過程で出る大量のおがくずについては、これまで牛舎の敷材として牧場に無償提供していましたが、昨年からは加熱圧縮し暖房用燃料として利用する取り組みを始めました。「まずは自社の暖房費を抑えるために試験的に導入し、今年から専用ストーブと併せて販売をスタートしたところです」
住宅着工戸数が減少する中でも着実に業績を伸ばしている同社では、今後のさらなる成長を見据え、20年から新卒採用を始めました。働く環境を改善すべく本社を改装するとともに、社外にアピールする取り組みの一つとして、ひょうご産業活性化センターの「ひょうごプラチナ成長企業創出事業」に応募しました。専門家の伴走支援を受けながら経営計画や事業計画の策定などを通して、「会社の強みが明確に理解できた」と話す三浦取締役。「今後は自社で設計、加工できる強みを生かして家具などの製品作りにも挑みたい」とさらなる事業の拡張をにらんでいます。