第2工場を上郡町に新設
将来はライン拡大しマザー工場に
シュッツ・コンテナ・システムズ株式会社
ドイツ生まれのIBCを日本市場へ
化学品等の液体を搬送する場合、国内ではドラム缶が多く使われますが、欧米ではドラム缶と並びポリエ
チレン製のIBC(Intermediate Bulk Container:液体用中容量容器)が普及しています。ドイツに本社を置く
シュッツ社は、1976年に世界で初めてIBCを開発しました。IBCの基本形状は1㎥の立方体で、ドラム缶(200
ℓ)4本がちょうど入るサイズです。つまり、ドラム缶4本分のスペースに5本分の1000ℓを充填でき、さらに重
量はドラム缶の半分であるため、輸送やエネルギーの効率が高いことが特長です。
また、同社が製造するIBC「エコバルク」はユーザーから使用済み容器を回収し、再生・再資源化しており、「環境負荷を抑えている点が欧米の企業に高く評価されています」と大屋博義社長は強みに触れます。
現在全世界に57の製造拠点を持つシュッツ社が同社の前身となる企業とライセンス契約を結び、日本に拠点
を設けたのは97年のこと。その後、2006年にシュッツ社がその事業を買い取り、同社を設立。14年に神奈川県
秦野市に工場を建設しました。
広大な面積が決め手に
業容が拡大する中で同社は2018年、西日本に第2工場を新設することを決めました。その理由について大屋社長は「西日本エリアに拠点を置く得意先が多く、物流コストや納期の面でさらにサービスを改善できることに加え、BCP(事業継続計画)の観点からも必要性を感じていました」と話します。
用地選定に当たっては、海外から部品などを輸入していることから「国際港に近い」、将来のマザー工場として位置付けていることから「敷地面積が2万㎡以上である」などの要素を重視。ひょうご・神戸投資サポートセンターに相談したところ、「迅速に候補地の情報を提供していただきました」と振り返ります。県外を含む9つの候補地から、「広い敷地を十分に確保できるのが決め手になりました」と上郡町に赤穂工場を建設しました。「投資に伴って得られる補助金の情報も有益でした」
赤穂工場では現在30人の従業員が働いており、3月からはエコバルクを再生・再資源化するラインも稼働しました。年内には現在の2交代制から3交代制に移行し、近い将来はエコバルクの生産ラインを増設する計画で、実現すれば生産能力は秦野工場の2倍になります。「日本におけるIBCの普及率はドラム缶に比べるとまだまだ微々たるもの。効率性、環境への配慮を理解してもらいながら、しっかりと市場を創造していきたい」と今後の事業の拡大に期待を寄せます。