世界の政策を整理し可視化
企業のインテリジェンス経営を後押し
株式会社オシンテック
ルール作りから参加できるように
同社の小田真人社長はIT企業の社員としてシンガポールに駐在していた時、「決められたルールの下で事業の土俵にも上がらせてもらえない日本企業のルール形成力の弱さ」を痛感しました。そこで「ルール作りのためのロビー活動から参加できるように」と考え、リサーチャー向けの情報可視化システム「RuleWatcher」の開発を着想。2018年に創業します。
RuleWatcherは政策形成や事業遂行に必要な情報が的確に集められるよう、各国政府や国連関係機関、NGO
等が環境に関して発信する1次情報だけを自動収集した上で、自動翻訳機能やAIを活用して情報の整理、分類を
行い、世界各国の政策動向を可視化します。「リアルタイムに情報を収集できる手法を提供することで、インテリジェンスの形成に役立てたい」と小田社長。中央省庁や大手企業で採用が進んでいます。
世界のルールをみんなの手で
2020年6月にサービスの提供を開始し、海外へ展開しようと考えていた時に、ポストコロナ・スタートアップ支援事業(現ポストコロナ・チャレンジ支援事業)を知りました。「地方から直接、世界を目指すモデルを示すのに良いステージだと感じました」と応募の動機を語ります。
「プレゼンで、ポストコロナにおける“世界の情報が集まる、インテリジェンスの港町神戸”というコンセプトが固まり、神戸・兵庫から“インテリジェンス経営”という経営フレームワークを広めていこうと決断できました」
助成金を活用して「環境」に加え「技術トレンド」もテーマとし、水素、ハイテク農業などの最先端技術や、バイオマス発電、廃棄物処理など脱炭素関連における日本企業の海外展開に必要な情報の充実を図りました。「県のバックアップのおかげで、企業に対し戦略立案におけるDXの重要性について理解してもらえるきっかけになりました」と話します。
小田社長は「RuleWatcherはそれだけで使いこなすのは難しく、国際動向を読む上で押さえておくべき前提
となる背景情報が必要です」とも語ります。そこで、同社では政策動向をしっかり把握した上で自社の事業機会につなげる「インテリジェンス経営」というフレームワークを習得して、修了生が事業を構想できるよう、ハンズオン型で企業研修や個人向けのオンラインコースを実施しています。
「世界のルールをみんなの手で」をビジョンに掲げる同社。企業の中にインテリジェンス部門が立ち上がる未来、ひいては一人一人の市民が政策形成に関われる民主主義の実現を目指しています。