樹脂製品作りのプロ集団
IT導入で業務効率が大幅に進展
有限会社中野製作所
オリジナル製品でBtoCにも注力
「樹脂・プラスチックの加工と製造を行うプロフェッショナル集団」を掲げる同社。工場には汎用旋盤、マシニングセンタ、3D・UVプリンタなど多様な設備がそろい、樹脂の加工から印刷までを手がけることで幅広いニーズに応えています。
「かつてはプリンタの精密部品をはじめとする試作品の製造が主体でしたが、2008年のリーマン・ショックで仕事が減り、量産品も受けるようになりました」と戸井昌弘社長。量産品としては医療用検査装置やリチウムイオン電池の生産ラインに使われる樹脂部品などを製造しています。
リーマン・ショック後、引き手の壊れたチャックをプラスチック部品に代えられないかというメーカーの依頼に応え、樹脂製のアタッチメントを装着し、引き手を簡単にカスタマイズできるようにした「トイチャック」を開発。これをきっかけにBtoCビジネスにも進出。
「Toy Craft」のブランドで、尼崎城のキーホルダーやアクリルスタンドなどオリジナルの樹脂製品の製造・販売を本格化します。「BtoBと並ぶ事業の柱に育てていきたい」と意気込みます。
二次元コードを活用し情報共有
「トイチャックにGPSを付ければ、子どもやお年寄りの位置情報確認に使えるのではないか」。そう思いつき、実現の可能性を探っていた時に、ひょうご産業活性化センターの専門家派遣事業を知り、相談。来訪した専門家に工場内を見てもらったところ、「紙で行っている情報共有のIT化に取り組んでみては」とアドバイスを受け、早速実践しました。
従来は生産量や不良品数については毎日午前、午後、終業時の3回、一人一人に紙に書いて報告してもらい、毎月束になった紙を集計、分析していましたが、新たに機械による集計方法を導入。設備ごとに設けた読み取り装置に、各社員に割り当てた二次元コードと、製造中の部品伝票の二次元コードを1日3回かざすことで、自動集計できるようにしました。また、各設備の空き状況や入庫・出庫情報を工場内に置いた大型モニターで見られる
ようにしました。
「1人当たりの生産効率がグラフで表示され、また、設備の稼働状況や在庫の状況もリアルタイムで見られるようになりました。生産計画が立てやすくなったほか、情報の共有化により在庫の無駄を減らすことができ、残業、コストの削減につながっています」と戸井社長。今後はさらに業務の効率化を図り、年間休日数の増加につなげようとしています。