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2026年9月号

ヘリタビ(同)

神戸市兵庫区御崎本町3-2-12

TEL.080-7173-5245

事業内容/産業遺産の記録映像撮影、ヘリテージ ツーリズムの企画・運営

代表社員/前畑 洋平

https://heritabi.com/

起業家支援事業助成金 (社会的事業枠)を利用して

  • ●必要な撮影機材を導入できた
  • ●産業遺産の精細なデジタル記録が可能になった
  • ●産業遺産の価値や魅力を社会に発信できた

この事業について

産業遺産の歴史的・文化的価値を高めるため
デジタル記録とツーリズムで過去と未来をつなぐ

ヘリタビ(同)

代表社員前畑 洋平
「廃墟の女王」と呼ばれる旧摩耶観光ホテルの見学ツアーも

廃虚に産業遺産としての価値を見いだす

 神戸市を拠点に、ツアーの企画・催行やデジタル記録を通して、廃虚や産業遺産の魅力を発信している同社。前畑洋平代表は小学生の頃、『ぼくらの七日間戦争』という映画に影響されて廃工場に秘密基地を作ったことをきっかけに、廃虚の魅力にのめり込みました。中学生から関西圏の廃虚を巡り始め、20代の頃には全国に足を延ばす中で、それらの中には日本の近代化を支えた産業遺産も含まれていることに気付きます。「先人からのヘリテージ(遺産)が人知れず解体されていく現状をどうにかしたい」という思いから、NPO法人において、廃虚・産業遺産の見学会や調査・記録、それらを軸にした地域活性化に取り組んできました。
 活動を通して市民と遺産をつなぐコーディネート役としての信頼を構築し、近年は自治体や企業から記録方法やツアー企画などに関する相談が増加。そこで新たに、自治体や企業向けのデジタル記録事業、大手旅行会社と連携したツアーの企画などをビジネスとして展開していくために、2025年、同社を設立しました。
 「産業遺産というと難しく聞こえるかもしれませんが、廃虚といえば間口が広がり、多くの人の興味を引き、その歴史的・文化的価値に気付いてもらいやすくなると考えています」

調査には研究者や大学院生らが参加

VRが開く遺産体験の新たな可能性

 合同会社設立に当たり、産業遺産のデジタル記録を事業の核に据えた前畑代表。「自治体などが求める精細な記録を残すには、高品質なカメラやドローンなどの機材が必要不可欠でした」と振り返ります。
 機材導入にかかる資金を調達するため、インターネットでひょうご産業活性化センターの「起業家支援事業助成金」を見つけ、すぐに申請。助成金を活用してドローンやミラーレスカメラなどを導入し、自己資金を投じて360度カメラなども加え、自由視点VRコンテンツや実写バーチャルツアーの制作体制を整備しました。これにより、現地に足を運べない人も遺産を体験できるデジタルコンテンツの提供が可能になりました。
 現在は「廃墟景観研究所」と名付けた活動拠点を神戸市内に構想中。記録や資料を閲覧できる資料館機能を持たせるほか、愛好家が集まり情報交換できる場にしたいと考えています。「廃虚の景観そのものをクローズアップし、その価値が市民権を得ることで所有者の意識が変わり、産業遺産として残そうという動きにつながっていけば」と意気込む前畑代表。老朽化すれば解体されることが当然だったものに価値を見いだし、適切な保存方法を模索しながら後人に託すための挑戦が続きます。

助成金を活用して導入した撮影機材