ハンマー鍛造
社員一丸となり“1日納品”を実現
高い技術力で全国から受注集まる
工場内にインゴットをたたくハンマーの音が響きます。「1,250℃まで熱したインゴットが冷えて硬くならないうちに手際よくたたくのがポイント」と向井康裕社長。強靭さを増したビレットはひと回り小型のハンマーでさらにたたいて形状精度を高めます。得意先に納品後は、薄く圧延されて電子部品の材料に使用されます。また、一角では小型ハンマーによる丸棒への鍛造も行われており、こちらは最終的に研究開発用の試作材料になります。
同社は創業106年目。5代目の向井社長が27年前に入社してから10年ほどは採算が合わない状況でしたが、加工対象を小型品にも広げるなどの努力で業績は上向きに。現在は現場作業員11人が3台のハンマーと7台のフォークリフト、4台のマニプレーターを駆使して手際よく仕事を回し“1日納品”を可能にしたほか、下流の熱処理にも製品の幅を広げたことで受注先が全国に広がりつつあります。
じわりと圧をかけるプレス鍛造が主流になっても、ハンマー鍛造にこだわってきた同社ですが、「将来は作業がより安全なプレス鍛造を前段階で取り入れることも視野に入れ、現場の働きやすい環境を整え、社員一丸となって仕事の幅をさらに広げていきたい」と意気込みます。