低温殺菌牛乳
おいしさと栄養価の高さを両立
「丹波」のブランド力で販路拡大へ
北海道浦河町の牧場で競走馬になる子馬に初期調教をつける馬乗りをしていた吉田拓洋社長が、後継者のいない酪農家の仕事を継ぐべく、母親の実家がある丹波市に戻ってきたのは2004年、31歳の時のこと。兵庫丹但酪農農業協同組合が、不採算の牛乳製造工場を畳もうとしていることを知り、「学校給食で地域の子どもたちに愛される牛乳を守りたい」と14年に同社を設立し、事業承継を決断しました。
看板商品の低温殺菌牛乳は日持ちしないため、仕入れから出荷までを迅速に済ませなければなりませんが、その分おいしさが増し、免疫力のあるタンパク質も残ります。酪農家の減少、少子化などにより経営環境は厳しくなる一方ですが、地道な営業で丹波、南但地域だけでなく、22年からは尼崎市東部の学校給食にも納品。全国区の「丹波ブランド」を生かし、関西圏や首都圏にも販路を広げています。
新商品開発にも意欲的です。姫路市安富町産のユズと組み合わせた「ゆずヨーグルト」の他、6月には飲むヨーグルトシリーズの「のんじゃえ丹波」にビフィズス菌を加えた商品も発売します。「牛乳はカルシウムを効率よく吸収できることを伝え、地域住民にも浸透させたい」と地域を大切にしながら牛乳の消費拡大に努めていこうとしています。