「鐵葛」の文房具
老舗文具店の協力で誕生した鍛造ボールペン

同社は1911年に金物のまち、三木市で創業。大工道具を製造する傍ら、10年前から「日常使いの鍛造品」をコンセプトに「鐵くろがねかずら葛」ブランドを展開し、昨年1月には初の文房具としてボールペンを発売しました。「最初に鍛造のペン立てを作り、それに合わせるペンが欲しくなったのがきっかけです」と井上勝雄専務は話します。軸には、火縄銃で用いられた「巻まき張はり」の技術を採用。1000℃以上に熱したステンレスを鉄棒に巻き付けて成形します。
「商品化のすべがなかった」と長らく試作段階で止まっていましたが、2023年にひょうご産業活性化センターに相談したところ、神戸市のナガサワ文具センターを紹介されました。「初めて見てもらった時、『話になりません』と返ってきました」と苦笑します。課題に挙がったのがバランスの悪さ。軸が長く重いため、重心が後ろにかかってい
ました。2カ月に1回のペースで神戸に通うこと1年。文具のプロの指摘を一つずつクリアし、ついには販売が決定。ペン立て、ペントレイ、定規も同時に商品化しました。
ナガサワ文具センターとはビジネスパートナーの関係に発展。今年6月には依頼された万年筆インクのスタンドを完成させ、現在はレターオープナーの計画が進んでいます。