電線加工技術
パワーエレクトロニクス製品を陰で支える熟練の技

同社は、工場用の配電盤や電源装置、電車の床下制御機器の内部配線に合わせて電線を加工しています。例えば、配電盤は大きいものでは高さ2m、幅4mほどあります。まず、ベニヤ板に貼った原寸の配線図の上に指定の電線を置いてから適切な長さに切断し、両端のビニールをはいで端子を圧着。複数の電線が並走する箇所は結束します。作業が終わればベニヤ板から外し、設置現場へ発送します。「当社の強みは、経験豊富なスタッフによる丁寧な仕事と納期を厳守することです」と河野善之社長。「制御装置や配電盤を覆うボックスなども同時に集まり設置工事が始まるので、足を引っ張るわけにはいきません」と続けます。
同社は1993年、義父の菅原章さんが設立。99年に入社した河野社長は電機メーカーから小型無停電電源装置の電線加工を受注しましたが、生産拠点が海外に移ったため、社長就任4年目の2011年、東日本大震災後に注目が集まったメガソーラーの変換器を皮切りに大型機器へ舵かじを切りました。「ふたを開けてみると大型機器の電線を加工する同業者が少ないことが分かり、本腰を据えることにしました」。太子町の本社工場、第二工場に続き、昨春にはたつの工場を新設。3拠点体制で、さらなる需要に応えていきます。