地域産品輸出と高度人材受け入れ
ベトナムで新事業を育てる
株式会社北星社
新たな活路を海外市場に見いだす
1953年にカレンダーの印刷で創業して以来、同社は但馬地域の印刷物需要に応え、70年代には写真スタジオも構えました。現在は編集者、カメラマン、デザイナーと
50人のクリエーターをそろえ、書籍やデジタルコンテンツなどあらゆる制作物の企画立案から印刷までワンストップで手がけています。
一方、主力の印刷業の需要は減少しつつあるため、2017年から新事業の探索に注力してきました。その一つが海外市場の開拓です。プロジェクトを任された門間丈晃さんが着目したのは経済成長著しいベトナムでした。現地で情報収集するうち、和牛レストランや日本語学校を経営する人と出会い、日本酒をはじめとする県内産品の輸出、ベトナムの高度人材と但馬地域の企業とのマッチングという二つの事業プランが固まったと言います。
ちょうどその頃、取引銀行を通してひょうご産業活性化センターの海外展開支援助成金を知り、これを活用。二つの事業を育てるべく、現地調査を実施。19年10月に100%出資の子会社「北星社ベトナムトレーディング」を設立し、門間さんが社長に就任します。
コロナ明け三つ目の事業にも挑む
県内産品の貿易事業の準備を進めようとしていた矢先にコロナ禍が直撃し、ベトナム赴任中の門間さんは身動きが取れなくなりました。そこで現地でもできる高度人材のマッチング事業に注力。ホーチミン工科大学などとのパイプをつくり、豊岡市内に生産拠点を置くメーカーとマッチングさせ急場をしのぎました。高度人材を求める日本企業のニーズは強く、これまで2社に対し約30人を紹介しています。
同社では海外事業と並行して、2019年に東京にあるアクリル印刷の会社をM&Aし、キャラクターを印刷したアクリルキーホルダー製作を新事業として育てつつあります。コロナ収束後はひょうご産業活性化センターのポストコロナ海外新展開支援助成金を活用し、ベトナムでもキャラクタービジネスの展開を視野に入れて現地企業の調査に当たりました。
現在は、その調査の過程で見つけたメーカーとの契約を検討しています。「現地ではキャラクタービジネスが未成熟で、観光地やテーマパークなどで販売されている商材が少ないです。そこにビジネスチャンスを見いだせないかと考えています」と門間さん。
今後は、コロナ禍で中断を余儀なくされた地域産品の輸出、そして高度人材マッチング、キャラクタービジネスの3事業をベトナムで育てていきます。