皮革用加工機を幅広く製造
近年は個人向け製品の販売にも
乗り出す
株式会社ニッピ機械
皮革以外の軟素材にも用途拡大
皮革の端を薄くそぎ落とす「革漉き」、皮革の幅を切りそろえる「裁断」、皮革同士を貼り合わせる「糊
付け」など、同社は皮革製品の製造に必要な工程のうち縫製を除く全工程の加工機械をそろえています。国内唯一の皮革製品総合機械メーカーとして、靴、かばん、財布、ランドセルなどの皮革製品メーカーの大半に納めるニッチトップ企業です。
衣服用ミシンを販売していた青田崇社長の祖父が、姫路・龍野地区の皮革関連業者から、皮包丁を使った革漉き作業を自動化できないかと相談されたことを契機に1953年、「皮漉機」の製造を開始。その後、他工程の機械へと広げていきました。「最も市場の大きい縫製(ミシン)は手がけず、縫製工程以外のニッチな機械に特化したことで競争から免れることができました。祖父の先見の明に驚かされます」と青田社長は言います。
近年は中国、東南アジア、インドへの輸出も増えており、海外向けが全体の7割ほどを占めています。また、皮革の素材に合わせて刃を調整することで0.1㎜ほどの薄さにスライスできる技術を生かし、ゴムや発泡体などの軟素材にも用途が広がっています。「軟素材を切るという潜在的なニーズはまだまだあると考えています」と手応えを感じています。
明確になった課題から人材戦略を見直す
ひょうごプラチナ成長企業に選ばれ、専門家の伴走の下、自社の強みを分析する作業などを行ってきました。「宿題の量が膨大で付いていくのに必死でしたが、経営戦略を体系的に学べたことは貴重でした。自社の置かれた現状と、目指す将来像との間にギャップがあることが把握でき、課題が明確になりました」と青田社長。従来は漠然と人材を採用していましたが、受講後は成長させたい事業領域を明確にした上で、そのために必要な人材を採用。人材教育のプログラムも作ることで、人材の厚みが増していると言います。
2019年には初のB to C商品として、個人のレザークラフター向けに「卓上型皮漉機」を商品化しました。円柱形状だった刃物を平面型の丸刃に替えるなどして軽量化を実現。着実に販売数を増やしています。「国内の皮革製品メーカーは減少しつつあります。個人のクラフターのものづくりを後押しすることで、皮革製品の魅力が伝わる機会が増えればと考えています」と青田社長。製造現場では熟練の職人が減りつつある現状も踏まえ、「デジタル化、高機能化により、誰もがより簡単に再現性の高い製品加工ができる機械を開発していきたい」と機械の開発を通じて皮革製品メーカーを下支えしようと考えています。