高度な廃電線処理技術と環境整備で
リサイクル業の常識を覆す
サカモトメタル㈱

難易度が高い電線リサイクル業に参入
多可町に本社工場を構える同社は、銅を主体に金属全般のリサイクル業に取り組んでいます。1988年の創業当初はアルミスクラップの仕入れ・販売、公衆電話機の解体・非鉄金属回収等を行っていましたが、将来の需要を見据え、廃電線から銅のみを取り出し米粒大に粉砕したスクラップ材、銅ナゲットの加工・販売に乗り出しました。数千種に及ぶ廃電線の処理加工は、気温や湿度に合わせた機械の調整が難しく、トラブルが多いことから、「10社中9社は続かない」と言われるほど高度なノウハウを要します。あえて困難な道を選んだ先代の先見の明により順調に売り上げを伸ばしたものの、2008年のリーマン・ショックの影響で債務超過に。その翌年、入社以来約10年間、仕入れ営業を一人で担っていた坂本規文社長が、2代目代表取締役に就任しました。「刻々と変わる銅相場に、自社の生産性を加味した独自の価格設定を行うことと、スズメッキなどの不純物を目視と手作業で徹底的に取り除き、純度100%の高品質な銅ナゲットを生産することで他社との差別化を図り、業績を回復させた後、事業を拡大していきました」と振り返ります。
近年、自動車のEV化やデータセンターの建設が進み、電線に使用する銅需要は拡大しています。リサイクル原料は新規採掘に比べてエネルギーコストが約4分の1に抑えられるため、事業のさらなる成長が期待できます。

SDGs認証を機に働きやすい職場を構築
持続可能な成長に向け、組織改革にも注力している同社は、ひょうご産業活性化センターの「ひょうご産業SDGs認証事業」を活用し、2024年、最上位のゴールドステージの認証を取得しました。「対外的なアピールよりも、自分たちが行っているリサイクル業務が社会貢献につながっていることを、社員が認識するきっかけにしたかった」と坂本社長。目標を可視化したことで、フォークリフトの電動化推進や太陽光発電システムの導入など、具体的な環境負荷低減対策が進みました。
また、先代からの残業ゼロの方針を設備投資や工程改善によって守り抜き、年間休日を118日に増加。さらに「ひょうご・こうべ女性活躍推進企業(ミモザ企業)」の認定取得や「兵庫型奨学金返済支援事業」の活用の結果、現場勤務を希望する新卒の女性が入社するなど若手人材の確保につながり、平均年齢29.7歳という業界屈指の若い企業となりました。「ゆくゆくは屋外作業を空調完備の屋内に移行し、過酷とされる業界のイメージを覆したい」
製造業の優良企業と同等レベルの工場を整備し、今年7月に入社した坂本社長の長男を筆頭とする次世代へ、よりよい職場環境を引き継ぐための挑戦が続きます。


