高品質と短納期を追求し
“替えが利かない存在”と信頼を獲得
株式会社プラントリイ
10年後を見据え大型設備を導入
工場内で圧倒的な存在感を放つのが、高さ9mの天井に届きそうな巨大な「パンチレーザー複合加工機」。最大縦3m×横1.5mの金属薄板を切り抜き、板の送り出し、金型の配置、加工までを最長48時間全自動で行います。
「従来のパンチ機械ではできなかったレーザー切断が可能になったことで、公共施設向け配電盤などの筐体以外に加工の幅が広がり、スピードも速くなりました」と鳥居史郎社長。今回導入した設備は切断面にバリが発生しないことから、「バリがなくなったことで菌の繁殖を抑えられ、医薬品や食品向けにも道が開けました」と話します。
設備投資を決断したのは昨年のこと。取引先金融機関に話すと、投資額の大きさに「もっと小型にしては…」と腰が引けたようでしたが、「今後10年を見越してさらなる成長を遂げるには妥協したくなかった」と鳥居社長。その覚悟を後押ししたのが、ひょうご産業活性化センターの設備貸与制度の担当者でした。「制度を活用して全額賄えたことで導入が実現し、将来の青写真が鮮明になりました」と晴れ晴れとした表情で語ります。
IT化と意識改革で短納期を実現
同社の本社工場は岡山県境に近い山間部にあることから、「不利な立地を克服するために、競合他社を置き去りにするレベルまで品質、納期対応を極める思いで、生産プロセスと意識の改革に取り組んできました」。
中でも、鳥居社長が前職でシステムエンジニアとして働いた経験を生かし進めてきた生産現場のIT化は、その実現に大きく役立ちました。例えば二次元コードを使った生産管理システムもその一つ。現場の作業者は工程ごとに端末で二次元コードを読み込み、「開始」「終了」にタッチします。後工程の作業者は進捗状況を見ながら準備をすることで、工程間のタイムロスを減らせます。また、日報などの情報を書き込めるチャットツールを導入し、全従業員が閲覧できるようにしています。「どこかの工程が多忙であると分かれば、パートさんが自主的にサポートに回るといったことが自然にできています」
同社の替えは利かないと得意先の信頼を得ることで、「価格交渉でも主導権を握ることができ、それを給与に反映させ、優れた人材が確保できる」という好循環を生み出しています。足元ではデータセンターや半導体向けの旺盛な受注に追われていますが、「パンチレーザー複合加工機を導入したことでしっかり対応できている」と話す鳥居社長。自動化によって効率化できた分は「人手でしかできない溶接加工の人員を手厚くします」。ものづくりのさらなる進化に向け余念がありません。