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2024年5月号

吉踏

三田市永沢寺16

TEL.050-3184-4946

事業内容/整形靴をはじめとする靴の製造

代表/吉田真也

https://www.yoshibumi.com

起業家支援事業を 活用して

  • 起業資金を確保できた
  • 機械を購入し作業性が向上した
  • 事業計画書により目標が明確になった

この事業について

足の形に合わせた整形靴で
靴を履ける喜びを提供する

吉踏

代表吉田真也
石こうから取り出した型

特性を踏まえて痛みのない靴を

 同社の吉田真也代表は三田市北部、永澤寺近くにあるパン屋の倉庫を借りて靴工房を開いています。義肢装具士の資格を持つ吉田代表が手掛けるのは整形靴。外反母趾などで足が変形し、通常の靴では痛くて歩けない人のために特別にあつらえる靴です。 製作依頼の多くは整形外科医からの紹介です。患者のもとに出向き、足の寸法を測り、石こうで足型を取ります。工房に持ち帰った石こうに樹脂を流し込んで型を作り、削ったり盛ったりして形を整えます。
 「脱げにくいようにかかとを絞ったり、むくみのある人には少し緩めにしたり。扁平足の人には矯正して土踏まずができるように型を作っていきます。義肢装具士としての腕の見せどころです」。いったん靴の型を作り上げると患者の足に合わせて違和感がないか確かめる仮合わせの工程を挟みます。その後、実際の製作作業へ移り、皮革を裁断し、すいて、ミシンで縫い合わせて完成させます。

ミシンで履き口を縫い合わせます

学校に通い直し整形靴作りを学ぶ

 高校時代はバレーボール部に所属していた吉田代表。足を痛めた時に使うサポーターにはさまざまな種類があり、効果が異なることに興味を持ちました。サポーターを作る仕事を調べていたところ、義肢装具士という職業があることを知りました。卒業後、義肢装具士を養成する専門学校を経て国家資格を取得し、義肢装具メーカーに就職します。
 「義足などの義肢や、サポーターやコルセットといった装具を作るのが主な仕事ですが、時々、整形靴の依頼が舞い込んできました」。型を取ってそれを基に外部の靴職人に製作を依頼しますが、使う人の満足を得られる整形靴はなかなか作れなかったそうです。そこで整形靴を専門的に学ぶため改めて専門学校に通った後、靴工房へ弟子入り。傍ら、自身が学んだ専門学校で講師を務めて資金をつくり、2022年7月起業に踏み切りました。
 講師の仕事の合間を縫って三田市商工会が主催する創業塾に通い、開業準備を進めている時に起業家支援事業を知りました。助成金は主に機械の購入に充てました。「最新のグラインダーに買い替えたことで、型を早くきれいに削れるようになり作業性が大幅に向上しました」
 制度を利用するに当たっては中長期的な収益、資金繰り計画などを盛り込んだ事業計画書を作成。「事業の目的を明確にし、計画性を持った目標をつくることで、しっかり達成しようという励みになりました。この先、さまざまな制度を利用する際の申請書類作りに生かしたいですね」。今後は、病院に行かないまでも痛みから靴選びに苦労している人に対象を広げようと考えています。

グラインダーでインソールを調整