100均向け商品を企画
中国に次ぎベトナムでも
仕入れ先を開拓
株式会社元林
コロナ禍でベトナム市場に着目
同社は1905年に創業し、当時は杖(ステッキ)の生産・販売を手がけていました。戦中にいったん解散した
ものの、戦後はライターの事業を再開し、バッグや革小物などにも商品の幅を広げていきます。
ある時、使い捨てディスポライターの卸先の100円ショップとの取り組みを強化し、取り扱い商品を増やし
ていきました。仕入れ先はもっぱら中国で、貿易商社や工場などの取引先を増やし、100円ライター以外に生活雑貨も扱うようになります。
しかし、中国からの輸入品については、徐々に輸入コストが上昇していきます。そこで2012年にインド、15
年にはベトナムで新たな仕入れ先を開拓。仕入れ先のさらなる発掘を強いられたのがコロナ禍です。「ロックダウンにより商品の供給が滞り、本格的に中国の次を探す必要に迫られました」とグローバルフロンティア部
門の奥野琢司部門長。そこで改めて着目したのがベトナムでした。
中国での経験をベトナムで生かす
2022年に100円均一開発部長を後進に任せ、海外事業部門を立ち上げた奥野部門長と、海外ビジネスにチャ
レンジしてみたいと手を挙げた社員の木村高さんが現地に何度も赴き、人脈づくりから始めました。ある時、ひょうご海外ビジネスセンターに現地調査に対する助成制度があることを知り、申し込みます。
その後、ベトナムのどのエリアの工場でどのような商品を作っているのか、商品の後加工を行う組み立て工場をどこに置くか、輸出前の商品を保管する倉庫を港のどこに確保するかなどの調査を進めました。「100均のビジネスは薄利多売のため、物流費などのコストをいかに切り下げられるかが勝負。かつて中国で培ったノウハウをベトナムで水平展開しようと考えています」と奥野部門長は話します。
そして2024年4月にハノイに駐在員事務所を開設し、木村さんが所長として赴任しました。現在、全体の仕入れ商品のうちベトナム産が占める割合は5%程度。「手の込んだ商品が得意な中国に比べ、ベトナムでは大量生産を得意とし、どのように小ロット商品を増やしていくことがこれからの課題です」。中国の仕入れ先を管理するグローバルフロンティア部門の陣内歴樹課長と調整しながら、生産品目を増やしていこうとしています。