新規設備導入で業務を広げ
舶用電動機の総合メンテナンス会社へ
株式会社TOWATECHNO


厳しい条件に耐えて技術を磨く
神戸市西区の田園地帯に工場を構える同社は、船舶のモーターやエンジンなどのメンテナンスを請け負っています。「8年前に兵庫区の和田岬から移ってきました。ここは高速道路のインターに近くて便利です」と髙口明浩社長。オーバーホールや修理の依頼があれば全国どこへでも駆け付け、港や造船所に停泊中の船から機器を取り外し、工場に持ち帰って作業をします。「海外出張もしばしばあります。最近は社員が増えたおかげで、私が出向くことは多少減りましたね」
同社は1947年に髙口社長の祖父が創業。父が後を継ぎ、2002年に髙口社長が入社するまでは、船舶モーターの中に入っているコイルの巻き替えをなりわいにしてきました。特急対応のために取引先を1社に絞っていた当時、年間の売り上げの倍近くの借入金がありました。家族経営ゆえに何とかしのいでいたものの、早晩行き詰まると危機感を抱いたと振り返ります。
「コイルに問題はなくても、付随するファンやポンプに異常が見つかればサービスで修理していました。その技術で正当な対価を頂こうと思いました」。髙口社長はメンテナンス会社への転換を図り、船舶機器メーカーや造船会社などへ営業行脚。条件が厳しい案件もこなすうちにモーターに加え、エンジンや制御機器の整備技術も培われていきました。

新規設備導入で成長に拍車
急を要する修理には船内作業もいとわない同社の誠実な対応は口コミで広がり、徐々に受注件数が増えていきました。完全内製化を目指し、2022年と24年には、ひょうご産業活性化センターの設備貸与(割賦)制度を利用して新規設備を導入。モーターの動力軸の調整を短時間でこなすイージーレーザー、回転する部品の回転振動を測定するバランシングマシン等が業務の幅を広げ、ワンストップ体制の確立につながりました。
「手元に運転資金を置いておきたい経営者にとって、多額の設備投資は悩みどころ。設備貸与制度はセンターが代わりに購入し、低利で貸してくれるので大変ありがたいですね」と髙口社長は話します。
新規設備の導入と並行して、新卒採用も22年から開始。西区に移ってきた頃は髙口社長を含め3人だった社員は、現在22人に。21年には先代から続く「東和電機」を現社名に改称しました。アルファベット表記にしたのは、将来は本格的に海外進出をという決意の表れ。「みんなで力を合わせ、国内外の主要な港に拠点を置くことと、修繕ドックを造ることが夢です」と、モーターが並ぶ工場で作業に励む社員たちに頼もしげな視線を送ります。
