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2025年8月号

ジェイ・トレイ株式会社

明石市樽屋町8-34

TEL.078-920-9260

事業内容/技術解析、エンジニアリング

代表取締役/堀芳明

https://www.j-tray.co.jp

ひょうご中小企業技術・ 経営力評価制度を活用して

  • 自社の現状を客観的に確認できた
  • 技術力を評価され自信が持てた
  • 社内制度改定のきっかけになった

この事業について

雌伏の時を乗り越え成長期に突入
ケーブルトレイで原発を支える

ジェイ・トレイ株式会社

代表取締役堀芳明
ケーブルトレイの設置例。トレイを支える架台やサポート材も設計します

設計部門だけを残して再スタート

 同社は主に原子力発電所で使われるケーブルトレイの設計を手がけています。原子力発電所の内部は何本もの太いケーブルが密集しており、トレイは大きいものだと幅1m、深さ30cmに及びます。「現場に運んだトレイが少し長かったとしても、切断するスペースはありません。ぴたりとはまるようミリ単位の設計が求められます」と堀芳明社長は話します。
 同社の前身、1947年に創業した㈱堀工業所は、59年から火力発電所のケーブルトレイの設計、製作、設置工事を開始。70~80年代の原子力発電所の建設ラッシュで多忙を極めましたが、90年代に入り建設が落ち着くと業績は低迷し、ついには廃業へ。しかし、得意先から「設計部門だけでも残すべき」と説得され、2001年に同社を設立します。「高齢の父に代わって私が社長となり、数人の設計技術者が付いてきてくれました」
 発電所関連の案件を地道にこなす傍ら、構造解析や流体解析等の各種解析、プラントエンジニアリングにも進出。11年には大手ゼネコンに勤めていた長男の文平さんが専務に就任し営業の先頭に立って得意先を開拓するなど、企業力は着実に高まっていきました。

平面で設計したものを3Dに変換して確認します

組織が拡大する中で見えた課題

2011年の東日本大震災をきっかけに、国内の原子力発電所は運転停止や建設計画の中止、廃炉が相次ぎました。ところが、22年2月にロシアのウクライナ侵攻が始まったことで、エネルギーの安定供給の観点から原子力の活用が見直されるようになります。
 「原発建設が増える」と踏んだ堀社長は、電気や配管等の技術者の採用を進めて設置工事も積極的に請けるように。「協力会社の中で、建設業許可を取れない一人親方を中心に社員になってもらいました」と、今年上半期だけで50人以上が入社。さらに、6月には鉄骨加工会社を買収しました。「トレイの設計、製作、工事。堀工業所時代の一貫体制を取り戻すことが夢でした」
 昨年、金融機関に勧められ、ひょうご産業活性化センターの「ひょうご中小企業技術・経営力評価制度」を利用しました。「第三者に設計や解析の技術を高く評価されたことで自信が持てました」。一方、社員急増に伴う組織体制の整備を課題として指摘されたことを受け、来年度の導入を目指し人事評価制度の策定を進めています。北海道に建設中の半導体工場のケーブルトレイの設置工事を手がけるなど、発電所以外の受注も伸びてきました。「会社を縮小させることは二度としたくありません。あらゆる案件への対応力を高め、次代にバトンを渡すのが私の務めです」と力強く語ります。

自社開発したサポート材