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2025年9月号

鶉ノ輪店(うずらのりんてん)

加西市北条町横尾802

TEL.070-1183-2741

事業内容/ヴィンテージバイクの修理・販売

代表/若林 直飛

https://www.instagram.com/uzurano_autobi

起業家支援事業 (ふるさと枠)を活用して

  • 必要な機械をそろえられた
  • ポスティング用のチラシを製作できた
  • 10カ月分の家賃補助を得た

この事業について

修理の技術と知識を駆使して
ヴィンテージバイクに命を吹き込む

鶉ノ輪店(うずらのりんてん)

代表若林 直飛
エンジンを分解しオーバーホールをします

新鮮に感じた初めてのバイク修理

 2024年9月、加西市にオープンした同店は、「ヴィンテージバイク」の中でも主に1960年代以前に製造された車体の修理、販売を手がけています。「60年代は国内メーカーが多く、こぞって個性的なバイクを造っていました」と店主の若林直飛さん。店内には客から預かった修理車とレストアした販売車が並びます。
 若林さんは2015年に明石市の実家を離れ、高知県の大学へ進学。日常の移動手段として買った中古バイクは故障続きで、ある時、工賃節約のために自ら修理を試みたところ、エンジンが息を吹き返しました。「機械の仕組みも分からず、ほとんど勘でやりました。ただ、壊れたものを元に戻すことが、とても新鮮に感じました」
 以来、オークションサイトで落札した動作不良の原付を復活させるなど修理に傾倒。「将来は兵庫県内でバイクショップを開きたい」という思いを胸に、卒業後は広島県にあるヴィンテージバイクの有名店に就職します。
「1年目からオーナーに教わりながらエンジンを分解するなど、いろいろな作業を経験させてもらったおかげで技術と知識が早く身に付きました」と振り返ります。

イングリッシュローラーでフェンダーを滑らかに

機械がそろい万全の態勢で開店

 入社4年目の2023年、仕事の傍ら開店準備に着手します。創業場所に選んだのは加西市、物件サイトで見つけた1964年築の店舗兼住宅でした。「家賃の高い都市部で売り上げに追われるより、自分のペースでじっくり仕事がしたかった。それにヴィンテージバイクの店は少ないので、店の知名度が上がれば、お客さんの方から来てくれると考えました」と話します。
 24年1月に退職し、加西市へ移住。翌月、ポリテクセンター加古川に入学します。「部品を作るため、溶接の基礎をちゃんと学んでおこうと思いました。強度の知識も必要ですから」。また、起業に関する補助金について加西商工会議所に相談したところ、ひょうご産業活性化センターの「起業家支援事業」を紹介されました。「商工会議所のアドバイスを受けながら、事業計画書を仕上げて提出しました」
 起業家支援事業の補助金は主に設備投資に充てました。鉄板をパイプ状にするベンドローラーはマフラー製作に、イングリッシュローラーはタンクやフェンダー等の曲面加工に威力を発揮します。「自己資金が乏しい中、特殊な機械をそろえられたのはありがたかったです」
 今後の目標の一つは、若い世代へのヴィンテージバイクの魅力発信だそう。Instagramの更新頻度をもっと上げないといけませんね」。モンキーレンチを持つ手を止め、気持ちよさそうに汗を拭います。

店先の搬送用トラックは1980年型トヨエース