毛布のリユース・リサイクルを中心に
持続可能な事業に取り組む
足立織物株式会社


帰宅困難者の声から主力商品が誕生
同社は1950年に播州織の産地、多可町で創業。「お客様の声をカタチに」をモットーに紡いできた75年の歴史には、二つの大きな節目がありました。一つ目は足立利信会長が社長だった2004年、後に特許を取得する真空パッキング技術を開発したことです。葬儀用品を扱う会社から、弔問客に渡すタオルギフトをコンパクトにできないかと相談され思い付きました。「ギフトは見た目が大事。パッケージの表面が真っ平らになるよう、圧力のかけ方や空気の抜き加減を何度も試行錯誤したそうです」と足立美由希社長は話します。
次の節目が11年3月に発生した東日本大震災をきっかけに、真空技術で収納しやすい非常用の毛布を作ったこと。交通機関がストップし事務所で夜を明かしたとい.う東京の問屋から懇願されました。タオルと毛布では伸縮性や弾力性が異なるため、ほぼ一からの開発となりましたが、同年12月には発売にこぎ着けました。これを機に圧縮毛布の量産態勢に入り、13年にはA4サイズに縮小。全国の自治体から注文が増えました。「200㎝ ×120㎝ の毛布を48回折り、厚さ3.5㎝ まで圧縮します。
デスクの引き出しや書棚でも保管できると好評です」

エコプロで毛布のリサイクル品をPR
2012年に入社した当初から、社会貢献活動や環境に配慮したものづくりに興味があったという足立社長。16年に世界規模で取り組みが始まったSDGsにも、おのずと関心を持つようになりました。21年に社長就任後、日頃の業務内容を洗い出してSDGsの17の目標に当てはめ、現状と30年までの達成目標をまとめたロードマップを作成し、ホームページに掲載しました。「普段は意識していないけれど、意外とやっているなと思いましたね」
同社ならではの取り組みの一つが、10年間の保管期限が切れた圧縮毛布の回収です。検品後、十分に使用できる毛布はリパックし、傷んでいるものは専用の機械で綿に戻して非常用クッションや軍手に再利用します。
23年2月に県の「ひょうご産業SDGs推進宣言企業」に登録され、24年4月には「ひょうご産業SDGs認証企業」のゴールドステージに認証されました。「大規模展示会に優先出展できる特典を使って、12月に東京であったエコプロに毛布のリサイクル品を出しました」と足立社長。認証企業には県の奨学金返済支援制度の補助期間を最長17年まで延長できるという特典もあり、「今後の人材採用で大きなメリットになる」と言います。
取り組みを進める中で、従業員のSDGsへの意識も高まってきました。「100年企業を目指し、今後もより良いものづくりにまい進します」と前を見据えます。
