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2025年5月号

Cafe Coucou

豊岡市竹野町竹野50-3

事業内容/カフェ経営、グラノーラの製造・販売

代表/中田樹

https://www.instagram.com/cote_takeno

起業家支援事業を活用して

  • 高額な業務用調理機器を購入できた
  • おしゃれな内装にできた
  • 開業時の資金難を乗り越えられた

この事業について

農業活性化や環境保全にもつながる
地域特性を生かしたビジネスに挑む

Cafe Coucou

代表中田樹
自家製グラノーラバー。一口サイズにカットしたものも

留学先での経験が事業のヒントに

 但馬の人気海水浴場、豊岡市竹野浜。同店は昨年4月、ビーチから歩いてすぐの所に開店しました。看板メニューは自家製グラノーラ。シロップで固めてスナックバーとして提供しているほか、量り売りもしています。
「量り売り一本でやりたかったのですが、手軽に食べられるようにしてほしいという声を受け、スナックバーを開発しました」と店主の中田樹さんは話します。
 量り売りにこだわった理由は、フランスでの留学体験にあります。加西市出身の中田さんは2013年に大学のフランス語学科に入学。毎年留学を重ねるうち、フランス人の農業や環境問題への意識の高さに引かれていきました。「地元産を大切にする国民性で、古くから地産地消が根付いていました。食品ロスやごみを出さないという考えから、市場では量り売りが浸透しています」
 フランスの大学院を修了後は、日本の電機メーカーに就職する予定でしたが、「農業への理解を深めたい」と内定を断り、豊岡市の地域おこし協力隊に応募。21年9月に着任しました。「豊岡は、コウノトリ育む農法をはじめ環境に優しい産業の先進地だったので選びました」

テイクアウトに対応できるようにしました

カフェを拠点に事業の多角化を

 中田さんが採用されたのは協力隊の中でも「起業型」といって、最長2年の任期中、豊岡市内での起業を目指して活動をするというもの。有機栽培の農家へのインタビューや、京都市の量り売りスーパーの見学などを通して、カフェを拠点に地元食材を使ったメニューを開発、提供するという事業モデルが膨らんできました。
 出店先を風光明媚な竹野浜に決め、2023年5月に空き店舗物件を購入。スチームコンベクションオーブンや冷蔵庫の購入、テイクアウト用の小窓の設置といった改装には、ひょうご産業活性化センターの起業家支援助成金を活用しました。「豊岡商工会議所に教えてもらいました。建物代で自己資金をほぼ使い果たした後だったので、渡りに船でした」。兵庫県よろず支援拠点の出張相談会にも参加し、グラノーラのポップアップストアを出店する際に役立つ補助金などを紹介されたそうです。
 開店から1年、最近は規格外の果物をドライフルーツにしたり、農家の協力を得てグラノーラの主原料であるオーツ麦を試験的に栽培したりと、意欲的なチャレンジが続きます。「売り上げと人員をバランスよく増やしながら、段階的に事業を拡大する予定です」と中田さん。
「ECサイトを充実させてグラノーラのサブスクを始めたいし、長期的な目標としては市内の休耕地でオーツ麦を育てたいですね」と目を輝かせます。竹野浜で始まったビジネスの可能性は、海のように無限に広がります。

白を基調とした開放感のある店内